振替レッスンとは、レッスンが何らかの理由で休みになった時に行われる補講レッスンのこと。
講師側の都合によるものと、生徒の自己都合によるものとがあります。
これらのうち、講師の都合によりレッスンが休講になった時は、ほぼどこの教室でも振替レッスンを行なっているようです。
問題は、生徒側の都合による振替レッスンをどうするか。
中には、生徒の身勝手ともいえる「レジャーなどの理由による頻繁な振替レッスンの要望」に疲れ果てている先生もいるくらいです。
その他にも、
学校の遠足で帰りが遅くなるので‥
追試を受けないとなりません‥
歯医者の予約がその日しか‥
などなど、色々なケースが考えられます。
こんな時どうするか、それぞれの教室によって、先生によって、実に対応は色々。
あなたのピアノ教室では振替レッスンをするのがよいか、それともしないほうがよいか、一緒に考えてみましょう。
目次
「ピアノレッスンの振替をしない」教室のメリットとデメリットは?
在籍生徒の人数が圧倒的に多く、またグループレッスンなども盛んな大手の楽器店では、振替レッスンを行うのは実際のところ難しいと思われます。
補講をしようにも、そもそも教室に空きがないのが実情。
物理的にムリということですね。
また、個人のお教室でも「生徒さんの都合による振替レッスンは致しません」とうたっているところはあります。
たいてい生徒さんの数が多く、先生が多忙で時間的に難しいということのようです。
また、先生のお考えにより、「生徒の人数とは関係なく一切の振替レッスンをしない」ピアノ教室もあります。
- 振替レッスンのセッティングに悩む必要がない
- 生徒都合に講師がスケジュールを合わせる必要がない
- 自身の練習や勉強に時間を充てることができる
- 生徒募集時に不利に働く
- 在籍生徒に不満が出る恐れ
- 講師側も自己都合では休みにくい
各教室の生徒募集は、今ではウェブサイトやピアノ教室紹介サイトなどからのネット経由によるものが主となりつつあります。↓
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ネット上で教室規約を見比べられると、「振替レッスンが一切認められない教室」はやはり不利。
ココがポイント
個人の教室では、振替レッスンを一切しないのは集客上不利
「ピアノレッスンの振替をする」メリットとデメリット
ピアノの振替レッスンをするメリット
振替レッスンを行うメリット
- 生徒募集にプラス
- 在籍生徒の満足感につながる
- 生徒が長くピアノを続けやすい
- 講師側も自己都合で休みやすい
生徒募集にプラス
上の項で書いたことの裏返し。
今は、習い事の教室探しの際に「まず振替制度があるかないか」を確認する保護者も多いです。
「一切振替しません」という教室よりも集客力は高くなるでしょう。
在籍生徒の満足感につながる
生徒が長くピアノを続けやすい
生徒がピアノレッスンを休むのにはいろいろな理由があります。
特に、冒頭の吹き出しで挙げたような「グレーゾーン」での欠席が意外に多いのが実情。
ネットの「ピアノ教室悩み相談」で挙げられているような「レジャー理由の欠席」などは意外に少ないものです。
このような時、一切振替レッスンが認められないとなると、生徒の早期離脱に繋がりかねません。
ピアノは年単位で通ってもらってこその習い事。
ある程度、生徒の都合を尊重するのも長く在籍してもらうコツです。
講師側も自己都合で休みやすい
ピアノ講師も生身の人間である以上、長い間には様々な事情でレッスンを休まざるを得ないことが起こります。
自身の病気や怪我のほか、「自分の子どもの病気など」「学校のPTA役員やクラス委員に選出されてしまった」「急な介護の発生」などなど。
そうした時、「生徒都合の振替レッスンはしない」とうたっていると、講師都合では休みにくいのではないでしょうか。
というわけで、講師側でも休める道を残しておくのが無難です。
ピアノの振替レッスンをするデメリット
振替レッスンのデメリット
- 日程の調整が大変
- 他の生徒との整合性をつける必要あり
- 制限を設けないと生徒の都合に振り回されるハメに
- 要は時間外無償勤務である
日程の調整が大変
振替レッスンをするためには、当然ながら講師と生徒両方の都合に合わせて時刻をセッティングしなければなりません。
双方忙しいため、これがなかなか難儀。
振替をしたくても日程が合わないことも珍しくありません。
他の生徒との整合性
振替レッスンをするからには、複数の生徒全てを同じように扱わなければなりません。
誰かに「歯医者の予約」で振替をするなら、他の生徒にもそれを許さなければなりません。
生徒が多ければ多いほど振替が困難になる理由はここにあります。
生徒の都合に振り回される恐れ
これこそ、冒頭で挙げた「生徒の頻繁な振替要求に疲れ果てるピアノの先生」になってしまう危険性。
ピアノの個人レッスンでは、ある程度生徒に寄り添う姿勢が必要とも思いますが、度を過ぎた振替要求に従う必要はありません。
ただ、その線引きが難しいのも事実。
なので、特に若い先生方にはその加減がわからず、悩む方が出てくるわけです。
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要は時間外無償勤務である
生徒都合でキャンセルになったレッスンを別の時間に設定して行うことは、勤務外の時間を生徒に無償で提供するということと同じです。
なぜなら、生徒が休んだ時間枠は講師が自由に使えるわけではなく、あくまでもレッスン時間としてセットされたもの。
レッスンとレッスンの合間に30分〜40分の空き時間ができたからと言って何ができましょう。
「生徒都合による振替レッスンは、講師にとって時間外無償勤務である」ということを常に意識しておけば、生徒の頻繁な振替要求に屈する必要はないのだということがお分かり頂けると思います。
ココがポイント
ピアノの振替レッスンを行う一番大きなメリットは、生徒の在籍期間を伸ばす効果が期待できるため。デメリットは「時間外無償勤務」であること。
振替ピアノレッスンのメリットはデメリットを上回る
そのように判断した理由は、教室の「理念」にその原点があります。↓
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ピアノ教室運営を成功に導く「コンセプト(教室理念)」構築のすすめ
私が最初のピアノの生徒を教え始めてから40年近くが経ちました。 多くの仕事と同じように、この間実に色々なことありました。 悩んだり傷付いたり、もうこの仕事を辞めて教室を閉じてしまおうかと思ったり。 & ...
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私は、生徒を成長させることが自分の教室理念にと指導方針に沿うことだと考えています。
なので、生徒にはできるだけ休まずに教室に通ってもらいたい。
とはいえ、生徒にも様々な事情があり、レッスンに来ることを望んでいても思うに任せないこともあります。
そうした時、一律に「振替レッスンは致しません」という方針であったらどうでしょう。
生徒はせっかくの成長の機会を一回分失うことになりますし、私は彼らを成長させる機会をやはり一回分失うことになってしまいます。
長く教室に通ってもらうために、デメリットには目を瞑ることにしたわけです。
上の項で、振替のデメリットのうち一番大きいものは「時間外無償勤務」であるというお話をしました。
振替レッスンををしなければ、講師はその負担を免れますが、そのかわり不満を覚えた生徒の退会リスクはついて回ります。
このような理由から、入会希望の生徒が列をなしているような超人気ピアノ教室以外は、振替レッスンのメリットはデメリットを上回ると考えます。
一部の生徒の野放図な要求に振り回されることがないよう、「一定の条件下でなら振替レッスンを認める」のが最も現実的なやり方ではないでしょうか。
ココがポイント
超人気教室以外は、一定の条件下で振替レッスンを認めるのが現実的
まとめ
- 個人のピアノ教室では、振替レッスンを一切しないのは集客上不利
- 振替ピアノレッスンのメリットは・生徒がピアノを続けやすい・講師も自己都合での休みが取りやすい、など
- 振替ピアノレッスンのデメリットは・日程の調整が大変・他の生徒との整合性・生徒の都合に振り回される危険性、など
- 一般的なピアノ教室では、振替レッスンのメリットがデメリットを上回る
- よって、一定の条件下での振替レッスンに応じるのが現実的
振替ピアノレッスンをするか、しないか。
するとしたらどのような条件下で行うか。
生徒から不満が出ないように、また不公平にならないようにするにはどうするか。
実に複雑で、はっきりとは決めにくい要素です。
このトピックについては、引き続きご一緒に考えていきたいと思います。