これから自分自身のピアノ教室を開業したいと考える若いピアノの先生たちにとって、1番のネックになるのが生徒募集。
楽器店で働いていた時は、生徒募集も楽器店がやってくれましたので先生は教えることに専念することができました。
でも個人でピアノ教室を開業するなら、自分で集客までやらなくてはなりません。
どんなことに気をつければよいでしょうか。
目次
ピアノ教室開業を考える時のコツ
以下の記事では、生徒が集まるピアノ教室を経営するには、まず「教室理念」と「指導方針」を決める必要があるというお話をしました。↓
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生徒が集まるピアノ教室を経営するには?教室理念と指導方針を決めよう
音大を卒業したら、生徒をたくさん集めたい。チラシとホームページ作って、それからえーと‥ 福耳ちょっと待ってね。その前に、とっても大切なことを決めておきましょう。 音大を卒業したらピアノ講師としてバリバ ...
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理念と方針が定まったなら、次は「どうやって生徒たちに自分のピアノ教室を選んでもらうか」を考える必要があります。
昨今、ピアノ教室の数は多く、地域によっては生徒の奪い合いともいえる現象が起きているからです。
- 自分の強みを意識する
- ターゲットにする生徒層を設定する
- 教室の立地を考える
チラシの文面やホームページのデザインを考えるのも大切なことですが、どうせならできるだけ効果的な教室経営を考えたいもの。
他の教室との「差別化」をはかるのは「選ばれるピアノ教室」を経営するためにとても大切なことです。
ひとつひとつみていきましょう。
自分のピアノ教室の強みを意識
上で紹介した記事では、ピアノ教室の「強み」として考えられる様々な項目をご紹介しました。
- 有名音大卒・海外留学などの「高学歴」要素
- コンクール入賞に近づく「指導力」要素
- リッチな雰囲気の「付加価値」要素
- 幼稚園や大規模マンション近くなどの「好立地要素」
- リーズナブルな月謝の「エコノミー要素」
などなどがあげられましたね。
ピアノ教室の「強み」として、他にはこんな要素もありそうです。
- 多くのイベントで生徒を引きつける「楽しさ追求要素」
- 保護者同士の交流を手助けする「つながり要素」
- 振り替えレッスンなど、できる限り生徒の要望に応える「利便性要素」
なども考えられます。
ココがポイント
他のピアノ教室との「差別化」のために、まずは自身のピアノ教室が何を「強み」にできるか考える
ピアノ教室の主なターゲットを設定する
あらためて自分の教室の「強み」が意識できたら、次は「どのような人を」主な生徒層とするかを考えます。
「主な生徒層」というのは、あなたのピアノ教室で最も数の多い生徒の「属性」ということ。
彼らによって、教室の雰囲気は大きく変わってきます。
例えばこんな例はいかがでしょうか。
- 低年齢でのコンクール入賞を目指す幼児・小学生
- 音大受験などを目指してできるだけ高いピアノ演奏能力を身につけたい中高生
- 趣味としてピアノを弾けるようになりたい小中学生
- オシャレにピアノを学びたい大人
- 生徒同士、保護者同士の交流を目的としたいグループレッスン希望者
- 「できるだけ低い月謝でピアノを習う方が得」と考える層
私、福耳のピアノ教室には、「何年もピアノを習っているのにさっぱり楽譜が読めていないことに気がついた」生徒がよく駆け込んできます。
それは、福耳の教室理念のひとつに「自力で楽譜を読み、自力で音楽を形作る力を育てる」とあるため。
読譜力を鍛えたい生徒が口コミによって福耳の教室の存在を知り、アクセスしてきてくれます。↓
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ピアノ教室運営を成功に導く「コンセプト(教室理念)」構築のすすめ
私が最初のピアノの生徒を教え始めてから40年近くが経ちました。 多くの仕事と同じように、この間実に色々なことありました。 悩んだり傷付いたり、もうこの仕事を辞めて教室を閉じてしまおうかと思ったり。 & ...
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小さな子どもたちに「読譜力」の大切さを説き、一緒に体を動かしながら五線上の音符の存在を意識させるのはなかなかの難事業。
なので、私はきれいに着飾るよりも常に動きやすい服装でピアノを教えているのです。はい。
ココがポイント
自分の強みをもとに、ターゲットとする主な生徒層を考える。自身の見た目も重要
ピアノ教室の立地を考える
多くの事業と同じように、ピアノ教室にとっても立地条件は超重要な要素です。
特にピアノ教室の場合は、通ってくる生徒の年齢が低いことが多く、徒歩圏に幼稚園や小学校があるのは大きな強みになります。
「差別化」とは、あなたのピアノ教室を地域の生徒たちに選んでもらうための戦略。
そのためには、あなたの強みを活かせるような、ターゲットとなる生徒たちが多く住んでいる地域で教室を開くのがベストです。
あなたの「強み」から考える、有望な居住地域の例をあげてみましょう。
海外留学経験
コンクール入賞の実績
例えばこのようなケースでは、ターゲットとなるのは「低年齢のうちからピアノをしっかりと学ばせたい」と考える教育熱心な保護者たち。
ということは、そのような保護者と生徒が多く住むような地域に教室を構えれば成功の確率が高まるはずです。
- 首都圏ベッドタウンの大規模マンション内
- 越境入学の児童がいるようなハイレベルな小学校の校区
- 大手の私立中学受験塾近く
などの地域が有望といえます。
生徒都合の振り替え(補講)レッスンなどの利便性
リーズナブルな月謝
お得感を前面に出した教室経営を考える時は、逆に教育に対してのんびりした地域で開業するのがが適当です。
- 古くからの住宅街
- スポーツやダンス系の習い事が盛んな地域
- 中学受験があまり一般的でない地域
経験則から、こうした地域ではスポーツ系の習い事にお金と時間がかかるため、ピアノの月謝は低めに設定した方が喜ばれるようです。
- ホームページと駐車場・駐輪場などを充実させ、遠くから自分の強みに合った生徒を呼び込む
- 居住地とは別の場所でピアノ教室を開業する
- その地域の特性に合った指導法、ターゲット設定にシフトチェンジ
ココがポイント
立地条件はピアノ教室開業の最重要要素
まとめ
- 多くのピアノ教室の中から生徒たちに選ばれる教室になるには自分の教室と他との「差別化」をはかることが大切
- 自分の教室・講師としての強みを意識する
- 「強み」に沿ったターゲットとなる生徒層はどのような人々かを考える
- 自分のターゲットが多く住む地域でピアノ教室を開業する
- 自身の強みと居住する地域の特性が合わない場合は努力と工夫が必要
かくいう私がそうでした。
大学を卒業すると、当時住んでいた実家でそのまま生徒を教える道を選びました。
特に別の場所で開業したり、地域に合わせて教え方や対象となる生徒を絞ったりなどは考えもしませんでした。
もしも40年前の自分に話しかけることができるなら、ぜひとも「他の教室との差別化」を考えましょうと伝えたいです。
そうすることで自身の教室が地域の生徒たちに支持されるだけでなく、別の強みを持つ他のピアノ教室の先生方と共存することができるからです。
生徒の奪い合いになることなく、他の先生方とのコミュニティができたら素晴らしいことです。
これからピアノ教室を開業しようとするあなたに、この記事がお役に立てたなら幸せです。