生徒がピアノ教室への入会を決めたとき、まずは教室規約を渡して月謝と諸費用の説明をします。↓
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ピアノ教室の入会金は、教室に入会する生徒から諸費用の一部として月謝とは別に頂くものです。
入会金を頂くことでどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下、詳しくお知らせして参ります。
目次
ピアノ教室が入会金を頂く理由
生徒が新しく入会するのは喜ばしいことですが、そのためにいくつかの作業が発生します。
また、新たに用意・購入するものもあります。
ピアノ教室の入会金の根拠
- 事務作業手数料
- 集客にかかった費用の一部回収
- 備品の購入
- 指導計画立案
- 教材研究と購入
事務作業とは、例えば教室名簿に名前と音楽歴など、入会申込書に書いて頂いたデータを書き加え、ファイルを作って保存。
出席カードなど作って渡している教室もあります。
生徒募集は無料ではできません。
チラシなどの作成費用、講師紹介サイトなどへの登録費用、ウェブサイト作成費用などがかかっているはず。
生徒備品とは月謝袋、ノート、シールなどの消耗品。
教室によっては生徒の誕生日やクリスマスにプレゼントを渡しているところもあります。
また、その生徒のために新しく指導計画を立案します。
音楽歴や所有する楽器などからぴったりの教材を複数選択。
新しく教本・教材を購入し、研究して取り入れていくのも大切な仕事です。
ココがポイント
入会金は頂く根拠のあるお金。堂々と頂いてよい。
ピアノ教室の入会金のメリット
入会金を頂くことで、ピアノ教室は3つのメリットを得られます。
- 退会への抑止力
- 入会と退会を繰り返す人への対策
- 在籍をお断りしたい人への対策
退会への抑止力
残念ながら、入会して早々に「合わなかった」「何か違う」のようなはっきりしない理由で退会してしまう人はいるものです。
また、半年ほどで「弾けるようにならない」と言ってやめてしまうケースも。
ピアノは年単位で通って頂いて少しずつ上達していくものですが、そのことを理解される前にやめてしまうのはとてももったいないことです。
入会金を頂くようになってからは、このような行き違いによる残念な退会はめっきり減りました。
数千円の入会金を頂くことで、望ましくない退会者を出さない効果があるものと考えています。
入会と退会を繰り返す人への対策
上の例と似ていますが、様々な理由でやめた後、ほどなく戻ってくる人がいます。
一見望ましいように思えますが、中にはまたすぐに色々と理由を言いつつやめてしまうケースが。
すると、その都度上記の事務作業が発生し、レッスン時間枠の設定などで振り回されることに。
私の覚えている限りでは、断続的に3回入退会を繰り返した人がいました。
もちろん、その人は二度と入会してくることはありませんでした。
在籍をお断りしたい人への対策
無理な注文とは、習い始めて3週間めの5歳児に「きちんとした曲を弾かせて下さい」などといった保護者のクレームのことです。
こういう人は「やめて頂く」のも一筋縄ではいきませんので、どうやって角を立てずに退会して頂けるか模索していたのです。
このような生徒の対策に厳しい教室規約を作っているお教室もあります。↓
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その保護者がある日「納得いかないのでやめさせます」とのメールを送ってきたので、私は即座に受理。
その後「やはり続けさせることにしました」とメールがありましたが、「退会が受理されており入会金が必要」と返信するとそれきりになりました。
それまでは入会金がセーフティネットの役割を果たすとは思ってもみませんでしたが、このようなメリットも存在するということです。
ココがポイント
入会金のメリットは、・退会への抑止力・入退会を繰り返す人への対策・在籍を望まない生徒への対策
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習う立場に立ってみれば、月謝と違って入会金というのはやはり「よくわからないお金」という意識になりがち。
入会金が必要な教室よりも、「当教室では入会金を頂きません」とか「今なら0円!」のように入会金不要の教室の方に惹かれるのは自然なことです。
このデメリットを少しでも減らすには、ウェブサイトなどに「入会金を頂く意味」をしっかりと書いておくことをおすすめします。
入会金というものは決してピアノ教室側が「儲けるために取る」お金ではなく、様々な形で生徒に還元されるものだとわかるように記載しておくのです。
多くの生徒は、納得できるお金に対しては理解し、支払ってくださるものです。
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生徒や保護者には色々なタイプの人がいます。
「入会金0円」の教室にしか興味を抱かない人もいますし、多少お金がかかっても自分の望む指導を受けたいと考える人もいます。
さらに、「入会金がかからない」ことにばかり注意がいくタイプの生徒や保護者とは距離をおくことで、教室そのものの「グレード感」を保つ効果もあると考えられます。
これは、ピアノ教室が月謝を安く設定することが、時としてデメリットになり得るという事実と通じるものがあります。↓
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ココがポイント
入会金を頂くデメリットを払拭するには、むしろ入会金の意味をウェブサイトなどにしっかり記載する。教室のグレード感を保つ効果が見込める
まとめ
- 入会金を頂く根拠は事務手数料、生徒募集費用の回収、備品購入費用、教材教本購入費用
- 入会金を頂くメリットは、・退会への抑止力・入退会を繰り返させないための方策・在籍を望まない生徒を再入会させないためのセーフティネット
- 入会金のデメリットは生徒募集時にやや不利なこと
- ウェブサイトや教室案内に入会金の意味をしっかり記載しておく
- 入会金がかかることを逆手にとって熱心な生徒を呼び込む手も
入会金という分かりにくいお金を頂くことは、若いピアノの先生であるあなたには少し抵抗があるかもしれません。
私は、入会金は「フィルター」の役目を果たしていると思っています。
真剣にピアノを学ぼうとする生徒と、「習い事の費用は安い方がよい」と考える生徒をふるい分けるフィルター。
ピアノ教室の理念に共感して入会を希望する生徒なら、入会金が必要かどうかで教室を選ぶことはしないはず。
そして、そのような生徒こそがあなたのピアノ教室を成長させてくれることでしょう。
この記事でシェアした私の失敗を参考にして、あなたがご自身のピアノ教室を運営していってくださることを願っています。