ピアノ教室の月謝納入といえば、「月謝袋に入れた現金を手渡し」というやり方がまだまだ主流。
支払い方法がキャッシュレスに移行しつつある21世紀になっても「現金・手渡し方法」が廃れないのはなぜなのでしょうか。
この記事では、月謝を受け取る際に月謝袋に現金を入れて受け取ることのメリットとデメリットを考えてみました。
目次
ピアノの月謝を現金で受け取るメリット
現金で月謝を受け取るメリット
- 手数料がかからない
- 事前振り込みや設定が不要
- 入金の確認が不要
- お金が「見える」ことにより、お互いに自覚が生まれる
手数料がかからない
現金手渡し方式の1番のメリットはこれ。
昔ながらの月謝袋にハンコを押す方式では、かかる経費は月謝袋代のみで、一切の手数料がかかりません。
なんといっても手軽なので、今でも多くの教室で採用されています。
また、月謝袋を子どもの生徒に選ばせると喜びます。
選ぶ月謝袋のデザインによって、その子がどんな発達段階にいるかと言うことまでなんとなくわかるのが面白いところ。
可愛いデザインの月謝袋はヤマハのショップで買えます。
1枚30円くらいから。バラ売りもしていますし、まとめて買うこともできます。
もちろんネットでも購入可。
事前振り込みや設定が不要
入金の確認が不要
生徒側は、事前に振り込みの手続きをする必要がありません。
キャッシュレス方式には必要な、各種設定などの必要もなし。
また、講師側では口座への入金の有無を確認する必要がありません。
当日の月謝袋のやり取りで完結するのはやはり簡単です。
お金が「見える」ことにより互いに自覚が生まれる
意外な大切な要素はこちら。
私の個人的な見解ですが、「ピアノの月謝を現金で受け取ること」には隠れた意味合いがあると思っています。
生徒(の保護者)は、毎月決まった金額を月謝袋に入れてレッスンに備えます。
その都度、「お金を払ってピアノのレッスンを受けている」ということを意識することでしょう。
また、講師はレッスンの時にお金を実際に受け取ることで、この金額に見合ったレッスンをしなければならないと気持ちを引き締めます。
この時、レッスン室での月謝のやり取りには、ただの現金の授受とは違う意味合いが生まれます。
振り込みやキャッシュレスでは、レッスンで直接お金を扱わないため、このような意識が芽生えてくることは考えにくいです。
ココがポイント
月謝を現金で受け取るメリットは・手数料がかからない・振り込み手続き、入金の確認が不要・お金のやり取りにより互いに自覚が生まれること
ピアノの月謝を現金で受け取るデメリット
現金のデメリット
- 支払い・受け取りの客観的な記録が残らない
- 紛失・盗難などのリスクがある
- 小学生に現金を預ける心配
- レッスン時間を消費する
支払いの客観的な記録が残らない
月謝を頂くと、月謝袋に領収印を押して、帳簿にも記録する先生が多いと思われます。
が、現金には名前が書いていないので、「本当に〇〇さんから月謝を頂いた」ことの客観的な証明にはなりません。
支払う生徒の立場に立てば、先生を信頼してお任せするしかありません。
ここに、どちらかの勘違いが起こりうる土壌が生じるわけです。
幸いなことに私は今までトラブルなく来ていますが、これからもずっとトラブルなしでいられる保証があるわけではありません。
紛失・盗難などのリスク
小学生に現金を預ける心配
ピアノ教室の生徒は、家からレッスンに通ってくるとは限りません。
学校から直接レッスンに来たり、学童保育を抜けてまた学童に戻る小学生もいます。
特に小学生は荷物が多く、また集団活動や給食当番などで席を離れることも多いので、月謝を持たせていると少々心配です。
レッスン時間を消費する
月謝のやり取りには地味に時間がかかることがあります。
保護者が月謝納入日ということを忘れていて、レッスンが始まってからあわてて月謝袋を探したりなど。
また、「お釣りを下さい」と一万円札を出してきたり、細かい硬貨などが入っていたりするとさらに時間がかかります。
そのような時は、レッスン時間がややもったいないと感じます。
ココがポイント
現金のデメリットは、・記録が残らないこと・紛失などのリスク・レッスン時間の消費
振込み方式による月謝入金に関する記事はこちら↓
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現金でのピアノ月謝入金でトラブルを防ぐには
月謝袋方式のデメリットである、トラブルへの心配を減らすにはどうすればよいでしょうか。
- 月謝袋を預からず、その場で開いて金額を確認し、領収印を押して返却
- 月謝の納入日を「前月最終週」や「当月第1週」などのように設定し、レッスンのはじめに全員に声かけ
- 学童保育の生徒は保護者に数ヶ月ずつまとめて持ってきてもらう。
- お釣り・硬貨などでの支払いにはやんわり注意する
その場で金額を確認
私は、月謝袋を受け取ったら次週まで預かるのではなくその場で開いて生徒の前で金額を確認します。
そしてその場でハンコを押してチェック表にチェックを入れ、すぐに返却します。
我が国では、「子どもの前でお金の話はしたくない」「子どもにお金のことを気取らせないようにするべき」といった意見は根強いものがあります。
でも、小学生にもなれば、ものを買う時、外食する時、そのほかの様々な活動に、常にお金が必要なのはわかっているはず。
ピアノの月謝の受け渡しも、子どもがそれを見ることで悪影響があるとは思えません。
私はいつも小学生の前で月謝を頂きますし、子どもたちもしっかりと確認しています。
月謝袋方式を採用するなら、最も大切なことはお金のトラブルを防ぐこと。
今までにこのやり方でクレームが出たことはなく、トラブルも一切ないので、それなりにうまくいっているのではないかと思っています。
設定した月謝納入日に忘れず声かけ
ピアノ講師が働いて収入を得るのは当然の経済活動です。↓
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そして、私自身も子育ての経験があるのでわかりますが、習い事のレッスン料などの支払うべきお金を子どもが出し忘れて持って帰ってきてしまうのは結構困るものです。
なので、こちらから「月謝を持っていたら出してね」と声かけすることにしています。
これで紛失リスクはある程度減らせるはずです。
学童保育の生徒は、保護者に会うときにまとめて持ってきてもらう
高学年になれば別ですが、やはり低学年で学童からレッスンに来る場合は少々不安。
忙しい保護者も多いですが、時々数ヶ月分まとめて持ってきていただくのが安心です。
面談も兼ねて、本人の普段の様子などを詳しく話し合う機会としています。
お釣り・硬貨などでの支払いが続く保護者には注意する
「お釣り」を要求されて困るのは、手元にお釣りに相当する現金がない場合です。
そうなると一旦預かって次週返すか、そうでなければあわてて自分の財布を見に走るハメに。
狭い家とはいえ、レッスン時間がもったいないことこの上ありません。
なので、私は何回めかにはやんわりと注意します。
「レッスン時間に食い込んでもったいないので〜」などと言えば、大抵わかってくれます。
硬貨も500円玉くらいなら大目にみますが、100円玉がジャラジャラ入っていたらやはり同じように「時間が〜」と注意します。
これでほぼ気を付けてくれるようになります。
ココがポイント
現金での月謝納入のデメリットを防ぐには・その場で金額を確認・こちらから声かけ・可能なら保護者にまとめて持ってきてもらう・お釣りや硬貨での支払いはNG
まとめ
- ピアノの月謝を現金で受け取るメリットは・手数料がかからない・振り込み手続き不要・入金確認不要・お金が見えることからくる「意識づけ」効果
- ピアノの月謝を現金で受け取るデメリットは、・記録が残らない・紛失や盗難リスク・小学生に多額の現金を預ける心配・レッスン時間を消費
- デメリットを防ぐには・その場で金額を確認・納入日にこちらから声かけ・可能なら保護者にまとめて持ってきてもらう・お釣りと硬貨はやんわり断る
「手の切れそうな新札を用意して、お札の人物の向きをそろえて入れるのが常識」などと言われていた時代もあります。
21世紀になっても、ピアノに限らず、様々な習い事で現金でレッスン代が支払われているケースは多いです。
単に慣れているからというだけでなく、上の「メリット」の項で説明したように、現金を月謝袋に入れて手渡しする方法には「レッスンに対する双方の意識のありよう」からくる独特の効果があるからではないでしょうか。
現金をそのまま渡すのではなく、わざわざ「ぴったりの金額を月謝袋に入れて用意しておく」という行為に、日本独特の「包む」文化の香りも漂います。
現金に対する独特の感覚を持つ私たち日本人には、これからも意外と根強く支持されていくような気がしています。