音大を卒業して、いよいよ一人前のピアノ講師として仕事を始めるあなた。
ピアノ個人レッスンの先生としては、色々なレベルの生徒の月謝をどうやって設定すればよいのかが気になるところではないでしょうか。
ピアノ教室の月謝の設定の仕方にはいくつかの方法があります。↓
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ピアノ教室個人レッスン・月謝設定のキホン
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今日は、私が採用している比較的シンプルな月謝設定ノウハウをお知らせします。
私がこの方法で月謝を設定し始めてから約20年間、月謝にまつわるトラブルやクレームはありません。
ご参考になれば幸いです。
目次
個人ピアノ教室の月謝金額設定のコツ
以下のことをまず決めておきましょう。
レッスンの回数と時間の設定
- レッスン回数/年
- 12ヶ月分の月謝の総額
- レッスン1回あたりの時間の長さ
ピアノレッスンの年間回数の設定
まずは1年間に何回レッスンするかを決定します。
その回数を12で割ることで1ヶ月のレッスン回数が決まります。
例えば42〜45回くらいのケースが多いようです。
教室によってばらつきがあり、40〜48回と様々。
休祝日のほかに年末年始とお盆があるので、実際46回以上レッスンするのはかなり大変。
ピアノレッスンの12ヶ月分の月謝総額を決める
ピアノの「月謝」という言葉を使ってはいますが、厳密には「毎月◯円」として金額を決めているわけではありません。
回数と同じように、金額も年間〇〇円を頂くものとして仮定し、その数字を12(ヶ月)で割ることで適当な額を決定するのです。
例えば、ある教室が仮に年間100,000円の月謝を徴収すると仮定すれば、12で割った金額は8,333.3333‥円。
これではキリがよろしくありませんので調整が必要。
年間90,000円と設定すれば1ヶ月あたり7,500円という数字が出てきます。
ピアノ教室の月謝としては妥当な金額に近づいているといえましょう。
あとは「丸い金額」になるよう、各自微調整していきます。
ピアノレッスン1回あたりの時間の長さを設定
レッスン時間は、生徒の年齢や経験によって変わってきます。
幼児では長時間のレッスンは集中力が持続しませんし、生徒の演奏力がアップすれば長い曲を弾くようになるのでレッスン時間も長くなります。
私はだいたい以下のように決めています。
- 幼児・小学校低学年の初心者:30分
- 小学生以上の初級以上:40分
- 小学生以上の中級者:45分
- 希望者:50分〜
年齢と経験により、きれいに時間が長くなっていくイメージ。
もちろん色々な考え方があり、決め方も様々です。
ココがポイント
ピアノの月謝を決めるには、まず・レッスン回数/年・12ヶ月分の月謝総額・1回あたりのレッスン時間を設定する
ピアノ教室月謝の金額を「時間枠」で設定
ピアノ教室月謝「時間枠方式」とは?
教本の難易度や、生徒の年齢に関係なく、レッスンの時間枠の長さによってのみ月謝の金額が変わるシステム。
私は勝手に「時間枠方式」と名付けました。(笑)
つまり、生まれて初めてピアノに触れる幼児も、受験であまり練習時間が取れなくなった中級者も、「レッスン時間が両方とも1回30分間という時間枠であれば月謝の金額も同じ」ということです。
多くのピアノ教室では、生徒が学ぶ教本の難易度によって月謝の金額が変わるシステムを採用しています。
ピアノ教室のウェブサイトを見ると、月謝の金額は初級◯円、中級●円など生徒の演奏レベルによって変わってくるところが多いです。
私も若い頃はこの月謝設定システムで教室を運営していました。
また、生徒の年齢が上がるごとに自動的にレッスン時間が長くなり、比例して金額もアップするところも。
このように教本のレベルや年齢で月謝を決めるやり方には、講師の裁量で金額を決めることができるというメリットがあります。
デメリットもありまして、それは以下のようなものです。
教本レベルや年齢で月謝の金額を決めるやり方のデメリット- 「初級」「中級」などの定義があいまい
- 練習してこない生徒はいつまでも「初級」にとどまる
- 「練習すると月謝が上がる」として保護者の理解が得にくいことがある
- 上達するほどに退会リスクが増える
- 年齢によって月謝が上がるケースも同様
生徒のレベルや年齢に関係なく、レッスン時間枠の長さによって月謝の金額が変わる「時間枠方式」には、上のようなデメリットが少なくとてもシンプル。
少しずつ採用している先生も増えてきている印象です。
ココがポイント
生徒のレベルや年齢に関係なく、レッスン時間の長さのみで月謝の金額を設定する「時間枠方式」はシンプルでおすすめ
ピアノ教室の月謝を時間枠で設定するメリット
この方法にはいくつかのメリットがあります。
時間枠で月謝を決めるメリット
- 「初級」「中級」などのレベルを教本ごとに細かく設定する必要がない
- 教本ごとに金額を決める必要がないので選択の幅が広がる
- 月謝の金額がレッスン時間と連動しているため保護者の理解が得やすい
- 年齢が高くても練習しない生徒は時間枠を短めに設定しておけば、年齢が低くても練習熱心な生徒に枠をまわせる
- 受験期などは時間枠を短く設定することで生徒の負担を減らせる
- レベルや年齢に関係なく柔軟に月謝の金額を決められるため、退会リスクが減らせる
何はともあれシンプルな決め方なので、色々な設定方法が可能なのが良いところ。
ココがポイント
時間枠で金額を決めるメリットは多い。特に、金額を柔軟に設定できるため退会リスクを減らせる利点あり
時間枠で月謝を設定するデメリット
メリットの多い時間枠方式ですが、デメリットもあります。
レッスン時間枠を長く取ろうとすると月謝が上がるため、保護者にお断りされてしまったわけです。
また逆に、短い時間枠にするために教本を減らすように言われたこともありました。
時間枠方式では「この教本を使う方のお月謝は〇円です」「△年生の生徒さんのお月謝は●円です」といった対応ができません。
生徒(保護者)の意向がレッスン時間枠の長さ=月謝の金額に反映されやすい仕組みといえます。
生徒の要望に柔軟に対応が可能なため、保護者の中にはそれを逆手にとって教本を減らすことで時間枠を削り、ピアノの月謝を低く抑えたいと考える方が出てくる訳です。
ここで引き下がってばかりでは、保護者に月謝の決定権を握られてしまうことになります。
こんな時は、ピアノ講師としての信念を持って、保護者と腰を据えた話し合いをしてみることをおすすめします。
ココがポイント
時間枠方式のデメリットは、保護者の意向によっては生徒がレベルアップの機会を失ったり、実質的に値下げを要求される可能性があること
まとめ
- ピアノ教室の月謝の金額を決めるときは、まず・年間のレッスン回数・12ヶ月分の月謝の総額・1回あたりのレッスン時間の長さを設定しておく
- 月謝の金額は、生徒のレベルや年齢に関係なく「時間枠の長さ」で考えるとシンプル
- 時間枠で月謝を決定する1番のメリットは「練習するほどに月謝が上がる」という不満が起こりにくいこと
- 時間枠方式のデメリットは、生徒側にある程度月謝の金額を選ぶ権利を付与するため、一部保護者の無理解により生徒の上達が遅れることがある
- デメリットを防ぐためには保護者と建設的な話し合いをする努力を
以前は私も教本レベルで月謝を決めていました。
が、だんだんとテキストや曲ごとにレベルを設定するのが面倒になり、時間枠方式に落ち着いたという経緯があります。
レッスン時間の長さと月謝の金額がシンプルに連動するこのシステムを採用してから、月謝にまつわる一切のトラブルが消えました。
上にあげたようなデメリットもあるにはありますが、トラブル防止に一定の効果があったと感じています。
これからピアノ教室を開業しようとしているあなたにとって、この記事がひとつの指標となれば幸いです。