月謝に関するクレームを受けることは、幸いなことにそれほど多くありません。
「教室規約」をきちんと明示するピアノ教室が増えてきたためもありますし、お互いにお金に関するトラブルを避けたいという気持ちが働くためと思われます。
-
ピアノ教室の「教室規約」の作り方|トラブル無縁のルール作りのコツ
個人でピアノ教室開くなら、きちんと「教室規約」っていうのを作っておいた方がいいって先輩に言われたんですよ。どんな感じに決めておくといいですか? 福耳音大じゃそこまで教えてくれないものね。一緒に考えて ...
続きを見る
それでも長い講師生活の間には、お月謝に関する様々なクレーム事例を見聞きすることがありました。
本記事は、そのような事例をシェアすることで、ピアノ教室の月謝に関するクレームに悩む先生方のお悩み解決につながることを願ってまとめたものです。
ご参考になれば幸いです。
目次
【ピアノ教室】月謝についてのクレームとは
- 納入トラブル(『払った』『受け取っていない』の行き違い)
- きょうだい割引要求
- 現状維持要求(値上がり拒否)
- 値下げ要求(他所との比較)
ご一緒にじっくりと考えていきましょう!
月謝の納入トラブル
トラブル防止につとめる
-
ピアノ教室の月謝入金方法|「現金+月謝袋」のメリット&デメリット!トラブル回避のコツ
ピアノ教室の月謝の受け取り方法、今も月謝袋に入れて手渡しの教室が多いみたいなのはなぜかな? 福耳振り込みやキャッシュレスの方が便利なのにってことね。なぜなのか一緒に考えてみましょう。 ピアノ教室の月謝 ...
続きを見る
上記のリンクでご紹介した「その場で月謝袋に納入印を押し、保護者にの手元に戻す」方式により、私のピアノ教室では今までに一度も『払った』『受け取っていない』のトラブルはありません。
月謝の納入トラブルの多くは、生徒が月謝袋を紛失してしまうことから起こります。
「月謝袋は常に生徒側にある」「講師が月謝袋を預かったままでいることはない」のが常態であれば、「納入済み」との保護者の勘違いは防ぎやすいものです。
もちろん、月謝が納入されたら月謝袋への押印のほか、自分自身のノートや領収表などにその場で書き込むなどの予防策は必須です。
未納分への対処
納入済みを主張する保護者の、お財布の口をこじ開けることは不可能。未納分が1ヶ月分なら、授業料の一種と思って潔く諦めましょう。
そして、今後2度と同じことが起こらないよう、当該保護者の月謝納入については細心の注意を払いましょう。
-
ピアノ教室月謝振り込み入金のメリットは?|デメリット回避のためにできること
最近はピアノ教室の月謝も銀行振り込みのところが増えてきてるって聞いたんだけどホントですか? 福耳そうなの。実は、私の教室もなんですよ。 ピアノの月謝の入金方法は、長い間「ぴったりの金額を用意して専用の ...
続きを見る
上記のリンクでは、月謝の銀行振り込みに関するメリットとデメリットをまとめてあります。
一度でも納入トラブルを起こした保護者については、「また間違いがあるといけないので‥」と説明し、今後は振込方式にして頂くのが一番の解決法です。
ココがポイント
月謝の納入トラブルは、月謝袋を常に生徒側に戻しておくことでほぼ防げる。未納トラブルを起こした保護者には以後月謝の銀行振り込みをお願いする。
月謝のきょうだい割引要求
「きょうだいで通うので月謝を割引きしてほしい」という要望は、クレームというよりはご希望。
保護者は単に「割引してくれるならラッキー」という感覚で言っているだけで、「してくれなければ上の子もやめさせるぞよ」などと考えているケースは少ないものです。
きょうだいで受講することにより受講料が割引になるのは、大手の塾やスポーツジムなどでは一般的。
それを個人のピアノ教室にも当てはめて「ダメもと」で口に出しているだけで、無理な相談とわかれば引っ込めてくださることでしょう。
あるいは、個人レッスンを行うピアノ講師が「きょうだい割引ありでOK」と考えているならそれもまたアリ。自由に決めて良いのではないでしょうか。
きょうだいでの月謝の割引がOKとすると、じゃあ保護者が習うならどうするか、あるいは従姉妹などの親戚はどうするか、など、新たな心配の種が出てきそうです。
シンプルに「ごきょうだいであっても、生徒さんお一人につきお月謝はいくらとなっております」と説明するのが一番無難ではあります。
月謝の割引を求めて講師を脅かすような、価値観のかけ離れた保護者と長く付き合っていくのは大変です。
そのようなタイプの方は今後も色々なクレームを出してくることも考えられますので、私ならご退会これ幸いと前向きに考えます。
ココがポイント
保護者によるきょうだい割引要求は「ダメもと」で言っているだけのことが多いので、講師の判断により断ってOK。受け入れる手もあるがおすすめしない。
月謝の現状維持要求
保護者を説得する
その生徒は当時伸び盛りで、どんどんテキストが進み、面白いように上達していきました。
楽譜の種類も増え、曲が長くなるにつれレッスン時間も長くなりレッスン時間に収まらなくなったので、月謝の金額のアップをお願いすることになったのでした。
保護者にしてみたら「頼んでもいないのにレッスン時間が増えた」「テキストも次々に新しいのを買わされる」感覚だったかもしれません。
「ウチは今のままでいいんですけど。どうしてもレッスン時間を増やさないとダメですか?」と言われてしまいました。
私は「お子さんは現在伸び盛りで、多くのことを吸収できる時期。この機を逃すのはもったいない」と説明。生徒本人もレベルアップを希望したので、最終的に受け入れて下さいました。
この時は生徒本人がすでに高学年で、ピアノ上達の意欲が高かったのが鍵となりました。
生徒の年齢がまだ低い場合は、本人のピアノへの取り組み方をよく観察しましょう。
そして伸びしろがありそうなら、保護者に金額アップの必要性を納得して頂く必要があります。
保護者の要求を受け入れる
私の友人が同じような体験をしています。
「これ以上のピアノのレベルアップは必要ない。塾などで忙しいので子供の負担を増やさないでほしい」とのご要望だったので、その通りにしたとのこと。
かなり上手な生徒さんだったようで、友人も期待してレッスン時間をオーバーするなど熱心に教えていましたが、以後関わり方を変えました。
「頂くお月謝の分はしっかり教えるけど、レッスン時間のオーバーなど、必要以上に力を入れて指導するのは一切なしにしたわ」と語っていました。
保護者には子供の将来に対する責任があります。
彼らが「ピアノより勉強が大切」と考えるのは自然なこと。私たちのように人生をピアノに捧げる人間の方が少数派なのです。
ココがポイント
月謝の現状維持を要求されたら生徒の意欲により保護者を説得するか受け入れるか決める。保護者の意志が強い場合には講師側が受け入れるのが常道。
月謝の値下げ要求
「月謝のきょうだい割引要求」の項とやや重なりますが、「月謝の値下げ」を要求してくる保護者は、物事の価値基準が多くの保護者と異なります。
どちらかというと、テストの点数や立派な車など、目に見えるものにお金をかけるのを好むタイプが多く、ピアノのように長い時間をかけて技術を磨いていくような習い事には本来あまり興味がないのです。
音楽や美術のような芸術活動にお金をかける精神的土壌を持ち合わせていないともいえます。
人が使えるお金や時間には限りがありますので、どうしてもピアノに対する優先順位が低くなり、「少しでも安くなりませんか〜」とばかり講師に圧力をかけてくるのでしょう。
あわてて「冗談ですよ」などと言ってくれれば、聞かなかったこととして今後も何事もなかったように接しましょう。二度と言わなくなるはずです。
「そうですね、考えさせて頂きます」とくれば、去る者は追わず。空くであろう時間枠を、別の生徒にどのように割り振るかの算段を始めれば良いのです。
ピアノという習い事に対する評価も熱意も低い保護者は、とかく他にも様々なクレームをつけてくることが多くなりがちです。↓
-
月謝の安いピアノ教室を運営するメリットとデメリット|妥当な月謝はいくら?
ピアノ教室の月謝をいくらくらいにするか考えています。やっぱり安くしておいた方が生徒募集がしやすいですよね。 福耳確かにそういう面はありますね。ただ、少し注意が必要です。 大手楽器店のようなブランド力の ...
続きを見る
「ぜひ、この先生にピアノを習いたい」と思われるようなピアノ講師になることが、こうしたクレームを跳ね返す一番の力になります。
ピアノという楽器は永遠に学び続けることができるもの。生徒に慕われ、保護者に尊敬されるピアノ講師を目指しましょう!
ココがポイント
月謝の不当な値下げ要求ははねつけてもOK。去るものは追わず。地域に支持されるピアノ講師になることを目指す
まとめ
- 月謝の納入トラブルは予防が第一。月謝袋に押印してすぐ保護者側に返却すればかなり防げる
- 月謝のきょうだい割引は講師の考えによるが、なるべくシンプルに設定するのがおすすめ
- レベルが上がっても保護者が月謝の金額アップを望まない場合は、生徒のピアノへの取り組みによって説得するか受け入れるか決める
- 月謝の理由なき値下げ要求は拒否する。支持されるピアノ講師・教室になることが、こうしたクレーム封じにつながる
本記事では、話をシンプルにするために比較的わかりやすい例を挙げてご説明しましたが、実際にはもっと複雑な様相を呈した月謝(お金)に関するクレームがあるようです。
日頃からアンテナを張っておき、いざという事態に備えましょう。
本記事がお役に立てればこんな嬉しいことはありません。
ピアノレッスンに関する保護者のクレーム対応法とは?↓
-
【ピアノ教室】レッスンへの保護者のクレームの対応方法|苦情?無茶ぶり?見極めが鍵!
関連記事 非常識な保護者の例と対応方法|ピアノ教室の悩み5例・トラブルになる前に 【ピアノ教室】月謝に関するクレームへの対処方法|保護者とのトラブル防止と解決策
続きを見る
ピアノ発表会に関するクレームの対処方法とは?↓
-
【ピアノ教室】発表会に関するクレームへの対応方法|保護者の期待と不安に寄り添って
関連記事 ピアノ教室の困った保護者 6タイプ|対応方法と解決へのヒントとは 【ピアノ教室】月謝の滞納を防ぐ方法|未納期間別に解説!悩む前に早めの対処を
続きを見る
ピアノ教室運営にもビジネスの視点が必要です↓
-
利益の出るピアノ教室を経営するために|ピアノの先生も「ビジネスの視点」を持とう
この間父親に「ピアノ教室を開くならビジネスの視点を持て」とか言われたんだけど、よく意味がわからなかった。どういうことかな? 福耳ピアノ教室を経営するなら、とっても大切なことですよ。 「ピアノ教室」と「 ...
続きを見る
他のピアノ教室との差別化を計るには?こちらがおすすめ↓
-
ピアノ教室開業を成功させるために|「他の教室との差別化」という戦略
楽器店でピアノ講師をしています。いずれ自分の教室を持ちたいと考えているのですが、自力で生徒を集められるかどうか自信がありません。 福耳生徒募集はいつもピアノの先生の悩みのタネなんですよね。 これから自 ...
続きを見る