ピアノ教室の先生をやっていれば必ずぶつかる悩み・「非常識な保護者への対応」。
昔も今もあまり状況は変わりません。
本記事では、数ある「非常識な保護者」事例の中から、代表的なものを選び、その対処方法を考えてみました。
目次
非常識な保護者の例① 月謝の滞納
メールやLINEでお願いすると、わかりましたとおっしゃるんですが相変わらず持って来られません。
月謝の滞納
- 生徒はレッスンに来るが保護者が月謝を持たせない状況が続く
- 2ヶ月〜半年以上月謝を滞納している
- 半年以上滞納した挙句退会されてしまった
ピアノ教室の悩みのうち最も深刻なものの一つである「月謝の滞納」。
実はこれ、教える立場である私たちの責任なのです。
まず、お月謝が1ヶ月以上未納であれば、なるべく早いタイミングでそれを保護者に伝えるべきです。
伝えても未払いのままならば、さらに口頭ではなく、メールやLINEなど記録の残る形で何度でも伝えましょう。
そしてそれでも払って頂けない場合はその生徒にレッスンをする必要はありません。
子供には責任のないことですが、ここは心を鬼にしてお帰り頂きましょう。
そうすれば必ず保護者からコンタクトを取ってくるはず。そこでおもむろに月謝未払いの件を穏やかに伝えましょう。
何らかの進展が見られるはずです。
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ピアノ講師の仕事ははレッスンをするだけでなく、月謝(レッスン料)を徴収するまでが業務範囲。
厳しいようですが、あなたはピアノを教えるプロなのです。無償で教えるなどということのないように気をつけたいものです。
「月謝の滞納」とその対処法については、別記事で詳しくお伝えしたいと思います。↓
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ココがポイント
月謝が未払いであれば何度でも督促する。それでも払って頂けない場合はレッスンすることを拒否しても良い。
非常識な保護者の例② 月謝の返金・減額要求
月謝の返金・減額要求
- 生徒の自己都合で休むにもかかわらず月謝の減額を要求する
- 自己都合で休んだレッスンの返金を要求してくる
- 生徒の自己都合によりレッスン回数を減らし、月謝の金額をそれに連動させるように要求する
基本的に、生徒都合によるレッスン欠席を理由とした、月謝の減額や返金要求に応じる必要はありません。
これは、ピアノ教室を運営していく上での大原則であり「基本のキ」。
一人の生徒に自己都合による月謝減額に応じてしまうと他の生徒にも適用せざるを得なくなり、結果として教室のモラルが崩壊することになります。
ただ保護者の中には押しの強い人がいるもので、特に講師が若いと甘く見て、強い口調で月謝の減額や返金を要求してくる人がいるもの。
私も若い頃は何度か経験しました。
特に危険性が高いのが夏休みで、「帰省させないつもりか」とか「トクをするのは先生だけ」(?)など、散々な言われようだったものです(;´д`)
このような非常識な保護者はいずれ教室を辞めていきますので、ここは辛抱のしどころ。決して要求に屈してはなりません。
穏やかに、でも毅然として「生徒さんのご都合によるお月謝の減額や返金はできかねます(ニッコリ)」とお断りしましょう。
こちらが筋を通せば、マトモな人ならいずれ諦めてくれますし、なおもしつこく要求してくるなら、いっそ退会して頂くことも一つの解決法です。
ココがポイント
生徒都合によるレッスン欠席については、月謝の減額や返金要求に応じる必要なし
非常識な保護者の例③ 楽器を用意しない
楽器を用意しない
- ピアノ(電子ピアノ)を購入する約束で入会したのに用意しようとしない
- おもちゃのピアノやロール鍵盤、キーボードで間に合わせようとする
- 親戚や友人の家にあるピアノで頑張ると言い張る
ピアノレッスンを受けるにあたり、ピアノもしくは電子ピアノをぜひ用意して頂きたいものですよね。
スイミングや体操などと違い、ピアノは毎日家で練習しないと決して上達しません。
ピアノも電子ピアノも確かに高価なものですが、保護者もそれを納得して入会されたはずです。
この件に関して、今でも忘れられないエピソードが。
やはり半年以上楽器を購入してくれない保護者に、穏やかに何度目かのお願いをしたところ、突如相手がブチギレ。
「そんな高価なものを無理やり買わせようとするなら教育委員会に訴えますよ!」‥‥
きょういく‥いいんかい?と、しばらく「教育委員会」が結びつきませんでした。(⌒-⌒; )
このように、楽器の購入に関しては多額のお金が絡みますので、相手が説得に応じてくれるとは限りません。
入会前の体験レッスンや面談の時から「当教室では楽器を用意して頂くことが必須」であることを伝えておきましょう。
体験レッスンの生徒に入会してほしい気持ちは痛いほどよくわかります。
それでも、上達する気のない生徒を入会させることで後々起こり得る、無用なトラブルを避けるためにここは譲れません。
そして、すでに「楽器を用意しない保護者」の子供が入会済みであれば、諦めず説得を続けましょう。
ココがポイント
「楽器(ピアノまたは電子ピアノ)の用意が必須であることを、入会前にあらかじめよく伝えておく。すでに入会済みであれば諦めず説得を続ける
非常識な保護者の例④ 無断遅刻・欠席
無断遅刻・欠席
- 無断でレッスンを休む
- 特別な理由なしにしょっちゅう遅刻する
- 保護者からそれらに関する説明がない
無断でレッスンを休んだり遅刻したりする生徒の保護者は、ピアノ教室というものを消費活動の一環としてしか捉えていない傾向にあります。
要は、消費者気分・お客様気分であり、「お金(月謝)を払っているんだから行こうが休もうが自由」という感覚なのです。
そこには師弟関係への理解はなく、当然先生へのリスペクトもありませんので、レッスンをすっぽかしても平気というわけです。
経験上、このタイプの保護者はご自身がピアノを習ったことがない人に多いようです。
「ピアノ教室」に関する一般常識を持ち合わせていないだけで悪気はないケースも多いため、ここは少しずつ「教育」するのがおすすめ。
無断遅刻や欠席を放置せず、「レッスン予定時間を10分経過しても生徒が現れない場合は、即!保護者に連絡する」ことを徹底しましょう。
理由として、「昨今は子供をターゲットとした恐ろしい事件も起こり得るので、生徒の安全確認のためこのようにさせて頂きます」とすれば文句も出ないでしょう。
昔と違い、今は電話のほかにLINEやメッセンジャーアプリなど、様々な記録の残る通信手段があります。
レッスンに遅れるたびにLINEに先生からの安全確認のメッセージが入っていれば、よほどヘンな保護者でない限り、徐々に無断遅刻や欠席はなくなっていくはず。
特に無断欠席を放置しないことは、「先生は待機しており、レッスンが行われているものとして扱われる」ことを認識して頂ける効果が期待できます。
ココがポイント
生徒が10分以上遅刻したら、即!保護者に連絡する
非常識な保護者の例⑤ 特別扱い要求
特別扱い要求
- 「コロナが怖いので、他の子と接触させたくない。ウチの子のレッスン前後には10分以上の休み時間を設けてほしい」
- 「ウチの子は他の子と顔を合わせると気が散ってしまうタイプ。ウチの子のレッスン時間には以下同文」
- 「レッスン室が暑すぎる(寒すぎる)。ウチの子に合わせて細かく調整して欲しい」
- 「ウチの子は調子が出るまでに時間がかかるタイプ。レッスン前に緊張をほぐすための時間を特別に設けて欲しい」
まだまだありますがこの辺で(笑)。
ピアノ講師を長年やっていますと、上の例のように「ウチの子は特別だから配慮して欲しい」という保護者に少なからず出会います。
ピアノは個人レッスンですので、グループレッスンとは違い、ある程度の配慮は可能であり、それがレッスンに必要なものであれば良いとは思います。
ですが、それが高じて「特別扱い」になってしまうのは困りますよね。
このタイプの保護者は「配慮」と「特別扱い」の区別がつきません。
また、「お金を払っているのだからそれくらいの『配慮』は当然」と思っている人も多く、悩みどころです。
ピアノの個人レッスンは、通常生徒の入れ替え時間をレッスン時間内に含みます。
昨今はコロナ禍ですので休み時間を入れる先生も増えているかもしれませんが、それはあくまでも「生徒全員が対象」のはず。
保護者が押しの強い人だからといって、一人の生徒にのみ特別扱いをするわけにはいきません。
もし、どうしても「レッスン前後に他の生徒と接触するのがイヤ」とのことならば、オンラインでの受講をおすすめしてみましょう。
あるいは、その生徒自身のレッスン時間を使う形で自主的に「休み時間」を設けてもらうのも一つの手です。
「レッスン前に緊張をほぐしたい」なら、その生徒のレッスン時間を消費する形で行えば良いでしょう。
もし納得して頂けないのであれば、それはそれで仕方のないこと。そのような保護者は、いずれ他の点にも不満を感じ、辞めていかれるものです。
講師は「配慮」と「特別扱い」の違いをはっきりと認識し、無理な「特別扱い要求」は穏やかに、でも毅然としてお断りしましょう。
ココがポイント
「配慮」と「特別扱い」の違いを認識し、要求してくる保護者には穏やかに「特別扱いはできない」と告げる
まとめ
- 非常識な保護者によるトラブル防止のため、教室規約を作成し文書で示しておく
- 月謝の滞納は1ヶ月以上放置せず、何度もLINEやメッセージなど記録の残る形で催促する
- 生徒の自己都合による月謝の減額や返金要求には応じない
- 楽器を用意しない保護者をまず入会させないようにする。すでに入会済みの場合は何度もお願いする
- 無断欠席・遅刻を防ぐべく、レッスン時間を10分すぎても生徒が現れない場合は毎回保護者に連絡する
- 「配慮」と「特別扱い」の違いを認識し、特別扱いを要求してくる場合は断る
ピアノ講師の仕事は生徒にピアノを教えることですが、生徒が子供であることが多く、保護者とのやりとりも業務のうちであるという特徴があります。
保護者の中には本記事のように非常識な人がたまにいますので、やはり「教室規約」の作成は大切。
そして、規約のさらに上をいくタイプの保護者に対しては、「穏やかに、しかし毅然と、威厳をもって」対応しましょう。
決して感情的にならないことが何よりも大切です。
本記事が、まだ非常識な保護者の洗礼を浴びていない若いピアノ講師であるあなたのお役に立てれば幸いです。
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