- 初級者〜中級レベルくらいまでの生徒が中心の一般的な教室
- ハイレベルのコンクールで上位入賞する生徒の多い中級〜上級者向きの教室
- 初心者〜初級レベルの生徒数の多い教室
目次
「普通のピアノ教室」にはどんな生徒がいるの?
- ピアノにさわるのが初めての3歳児
- 習い始めて2〜3年の小学生の初級者
- 校内合唱コンクールの伴奏を頼まれた中級者の中学生
- 音大を受験する高校生
- 「エリーゼのために」を弾けるようになりたい主婦
- 障がいを持つ子ども
- 仕事でピアノ演奏が必要な幼稚園の先生や保育士
- 「ふと思い立って」習い始めた男性
などなど。
すべて私がこの数十年の間に教えた生徒たちです。
最近増えている大人の生徒はピアノを学ぶ目的が実にさまざま。
教えるためには、講師もアンテナを張って新しいことを勉強して取り入れていく必要があります。
また、数が多いのはやはり小中学生の女の子。
幼稚園でピアノ教室に入会し、小学生、中学生と進級する度にピアノも上達していく彼女たちはやはりピアノ教室の中心的存在です。
ピアノの初級・中級とはどんなレベル?
「バイエル」は、わかりやすい基準です。
古い教本ですので今はあまり使われなくなってきましたが、まだまだピアノ学習者にとっては「バイエル」=初心者、初級者という認識でほぼ間違いありません。
保育士や幼稚園の先生を目指す場合は、この「バイエル」終了程度のピアノの演奏力があると安心と言われます。
また、小学校の高学年〜中学生くらいから使い始める「ツェルニー30番練習曲集」、「ソナチネアルバム1」はそこそこ難しい曲集。
ピアノを習い始めた生徒のうち半分以上がここに来るまでに脱落します。
私は以下の記事で「ツェルニー30番練習曲」が終了すれば初心者対象であれば教えることも可能と書きました。↓
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ピアノ初心者を対象に教える時の演奏力はどれくらい?他に必要なスキルは?
ピアノの初心者を対象として教える教室を開きたいと思います。どれくらい弾ければ人に教えられるようになりますか? 福耳初心者といっても色々な人がいますので、一言で答えるのはなかなか難しいんですが大体の目安 ...
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つまり、「ツェルニー30番」「ソナチネ」が弾ければ立派なピアノ中級者だといえるでしょう。
ココがポイント
ピアノ中級者とは、「ツェルニー30番練習曲」「ソナチネアルバム1」などのレベルの教本、曲集を弾ける学習者
中級者を教えるために必要な演奏力とピアノ歴は?
自分自身の体験を例にあげますね。
私は5歳でピアノを習い始め、15歳で音楽大学付属高校ピアノ科を受験しました。↓
この時私が取り組んだ受験課題曲は、記憶をたどるとこのようなものでした。
- J.S.バッハの組曲の一部
- 「ツェルニー 40番練習曲」のうち後半の2曲
- ベートーヴェンの初期のソナタ 第1楽章
ドレミも知らなかったところから10年でとりあえずここまで進んだわけです。
ただ、私の場合は音大附属高校を受験すべく、毎日3時間〜4時間くらい練習していましたので、一般的なピアノ学習者とは少し事情が違います。
毎日1〜2時間程度の練習量なら、普通はこのレベルに達するのには12〜13年くらいはかかると思われます。
さてその後、私は音大付属高校に入学。
母に頼まれて「ソナチネ」を弾いていた妹にピアノを教えることになりました。
すぐにケンカになるのでうまくいきませんでしたが(笑)、この時教えることそのものに力不足は感じませんでした。
なお、12〜13年というのはあくまでも目安。
ピアノを始めた時期によっては15年くらいかかる人もいるし、逆にもっと早く到達する人もいるかもしれません。
ココがポイント
ツェルニー40番練習曲が終了する程度まで弾けていれば初心者〜中級者くらいまでの生徒を教えることは十分可能。
中級者を教えるためのピアノ演奏力以外のスキルは?
もしもピアノ中級者を教えるなら、以下のことも一緒に指導していく必要があります。
楽典(音楽理論の基礎)
中学生以上の定期テスト対策に基本的楽典の知識は有効です。
特に「調性」や「音階の成り立ち」などをしっかり理解させておくと、苦手な子が多いぶん相対的に成績アップが望めます。
音楽史
これも学校の定期テストに有効。
各有名作曲家の生年や没年まで覚えておく必要はありませんが、彼らが主にどの時代に活動していてどんな作品を遺したかを把握させておくとよいです。
また、「ソナチネ」という形式の登場は18〜19世紀のヨーロッパの歴史の動きと深い関わりがあります。
その辺りも合わせて説明できれば曲への理解が深まるでしょう。
そして、次の2つのスキルがあればもっと安心です。
初見演奏力
生徒がいきなりカバンから楽譜の束を取り出し、「合唱の伴奏を頼まれました。来週までに弾けるようになってないと〜」などということがあります。
この時「自分でやりなさい」なんていうのはちょっとかわいそう。
せっかくの機会ですから応援してあげたいもの。
私はとにかく初見で弾いてみせて、大体の雰囲気をつかんでもらってから簡単な指導をします。
最近の合唱コンクールのピアノ伴奏はなかなか難しいものもあり、一筋縄ではいきません。
こんな時のために教える側はある程度の初見演奏能力があると安心です。
簡単な伴奏づけ
幼稚園の先生にピアノを教えていると時々頼まれるのがこちら。
メロディだけの簡単な譜面を提示され、シンプルでよいので伴奏の仕方を教えてくださいと頼まれることがあります。
クラシックピアノの先生は私を含めてコード進行が苦手。
でも、ちょっと勉強すればCmとかG7のような単純なものなら提案できるはず。
これをしてあげられると感謝されますし、覚えておいてソンはありません。
ココがポイント
一般的なピアノ教室で必要になる、ピアノ演奏力以外のスキルは以下の通り
中級者を教えるためのスキル
- 楽典指導
- 音楽史
- 初見演奏力
- 簡単な伴奏づけ
まとめ
- 初級者〜中級レベルくらいまでの生徒が中心の一般的な教室の先生になるのにかかる期間は12年以上
- 必要な演奏レベルは「ツェルニー40番練習曲集」が終了する程度
- 指導するのに楽典、音楽史の知識が必要
- 初見演奏力とともに、簡単な伴奏づけなどができれば安心
「ピアノ講師」はとてもやりがいのある仕事です。
もしあなたがピアノ教室を開きたいと考えているなら、少し真剣にピアノを学んでみてください。
そして、生徒たちが何を求めているのかを考えて力になってあげて下さい。
そのためのお手伝いができれば幸せです。
ご自分のペースで頑張っていきましょう!