近年日本では、ピアノを習い始める年齢はだんだんと早くなる傾向にあります。
以前は5〜6歳が適当と言われたものですが、最近では3歳、4歳は当たりまえ。
「1歳〜2歳からのピアノ」をうたう教室まで現れています。
実際は、全身を使うスイミングなどの習い事と違って、ピアノのように手先を使う楽器の習い事は幼稚園に入ってから始めるのが現実的。
特に幼稚園年中児・年長児のためのすぐれたピアノ教材・教本は数多く出版されています。↓
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それでは、幼稚園年少児のための使いやすいピアノ教本・教材とはどのようなものでしょうか。
いくつか実際の例を挙げてご紹介していきたいと思います。
目次
幼稚園年少児のピアノ指導のポイント
幼稚園年少児といえば3〜4歳。
この年齢の子どもに「楽譜を読ませてピアノを弾かせる」のは、実際のところ少々無理があります。
年少児に触れてもらいたい「音楽の楽しさ」とはどのようなものでしょうか。
指導する時のポイントとして以下の4つを考えました。
年少児へのピアノ指導のポイント
- ピアノで音を出す楽しさを味わう
- 新しい知識に触れる
- 音に合わせて身体を動かす
- 少しずつ譜読みを意識する
ピアノに触れる楽しさ
幼稚園で鍵盤ハーモニカを習うため、実際にピアノを弾いてみたいと考える子どもはかなり多いものです。
また、園のピアノや友達の家の電子ピアノを触ってみてピアノを習いたいと考えるケースも。
ピアノは触れるだけで音を出すことができるので、小さな子どもに向いている楽器とも考えられます。
比較的すぐに音楽を楽しめるように編集された教材を渡すとよいでしょう。
新しい知識に触れる
子供の脳は新しい知識を吸収するのに向いています。
自分が今まで知らなかった事柄を学習することは、世界が開けたような気持ちになることでしょう。
「ドレミファソラシド」という音の名前を覚えることは、音楽の世界の扉を開く鍵のようなもの。
新鮮な気持ちで学ぶことができる教材をおすすめしたいです。
音に合わせて身体を動かす
小さい子どもというのは、もともと動き回っているのが自然な姿です。
中でも、音楽に合わせて身体を動かすのは幼児にとって大切な活動のひとつです。
世界中どの地域でも、音楽に合わせて踊る文化があるように、音(音楽)に合わせて身体を動かすことは人の本能のようなもの。
年少児のレッスンではぜひ積極的に取り入れていきましょう。
譜読みを意識させる
幼稚園年少児は、まだ文字の読み書きができないのが普通です。
文字に対する興味のない子どもに音符の読み方を教えるのは難しいですが、「おんぷ」というものの存在を伝えておくことには意味があります。
初歩の段階から少しずつ譜読みの要素を取り入れていきたいものです。
ココがポイント
幼稚園年少児のピアノレッスンのポイントは音楽の楽しさを伝えること
年少児の「楽しさ」を引き出すピアノ教材4選
幼稚園年少児のピアノレッスンにおすすめしたい教本・教材は以下の4種類です。
- ヤマハミュージックメディア:まいぴあの ぷれ1・2
- キディークラシック:ドレミとあそぼ! とおんきごう編・へおんきごう編
- 編全音楽譜出版社:ダルクローズ・システムによるリトミック指導1[3才児用]
- 音楽之友社:4才のリズムとソルフェージュ
まいぴあの ぷれ1・2
ヤマハミュージックメディア:まいぴあの ぷれ1・2
著者:石黒加須美
まだ文字や数字に興味を示さない年少組の子どもに音楽の楽しさを伝えるための教材。
曲の雰囲気にあった挿し絵をもとに音楽のイメージをふくらませた上で、音源に合わせてリズムを黒鍵上で刻んでいくところからはじまります。
音源はQRコードでダウンロードできて、スマホでいつでも再生できるので、講師がいない家での練習も楽しくできます。
子どもは「譜面を読む」ことを求められず、耳で聴いたリズムのみに集中。
また、指を一本ずつ動かすのではなく、グーやパーで鍵盤を叩くことで打鍵のタイミングをつかむ練習をするのが特徴です。
ぷれ1は、ピアノを弾きたいけれどまだ文字が読めない、指を一本ずつ動かすことの難しい子どもにぜひおすすめしたい教本。
ぷれ2では、③指(中指)から徐々に指を一本ずつ動かせるように進んでいきます。
ドレミとあそぼ!
キディークラシック:ドレミとあそぼ! とおんきごう編・へおんきごう編
著者:桝田裕美子
小さな子どもに音名を教えるための教材。
1ページ全体を使ってど〜んと「ド」「レ」の音符の場所が示され、そこに「ド」はどんぐり、「レ」はレモンなどのように各音符にキャラクターの顔がデザインされたシールを貼っていきます。
シールと対応する「おんぷカード」も付いていて、ゲーム感覚で遊びながら音名を覚えることができます。
特にシールを貼りたい年頃の年少児にぴったり。
素朴で色鮮やかななカラーの挿し絵も幼児の興味をそそります。
1度シールを貼るだけで音名を覚えることは難しいので、シールの周りをクレヨンやクーピーでなぞるなどして複数回おさらいさせます。
ダルクローズ・システムによるリトミック指導1[3才児用]
全音楽譜出版社:ダルクローズ・システムによるリトミック指導1[3才児用]
全日本リトミック音楽教育研究会ー編
板野平/溝上日出夫ー監修
幼児の身体の動きを音と連動させることをピアノレッスン に取り入れるなら、リトミックを取り入れるのが一番です。
参考
リトミックとは:
エミール・ジャック=ダルクローズ博士(1865〜1950)によって考案・開発された音楽教育の手法。
「リトミック」とは「よいリズム」という意味です。
音の響きや音楽にそって身体を動かし、音楽の持つ表情や動きを体感させることによって音感と情操を育むことを目標としています。
この「ダルクローズ・システム」によるリトミックの書籍や教材、教本は種類が多く、中には学術的な難しいものも。
私がレッスンで使うことの多いこの教本は、「3才児」に焦点を当て、保育の現場で実際に取り入れることができるような実例が多く載せられています。
グループレッスンはもちろん、個人レッスンが多いピアノレッスンの場でも大いに役立つこと請け合いです。
4才のピアノとソルフェージュ
音楽之友社:4才のリズムとソルフェージュ
著者:呉暁
ソルフェージュ(フランス語・solfége)とは西洋音楽の学習において楽譜を読むことを中心とした基礎訓練のことである。(wikipediaより)
音やリズムと身体の動きを連動させるリトミックに対して、ソルフェージュでは楽譜を読むことに焦点をあてた練習をします。
まだ文字への興味を持たない3〜4歳児に読譜を教え込むことは困難ですが、レッスンの中で短時間ずつ取り入れていくことにより将来の譜読み能力の土台を造っておくことはとても大切。
ご紹介したこの教材は、日本のソルフェージュ教育の第一人者・呉暁氏が、生まれて初めて「楽譜」に触れる3〜4才児のために書いたものです。
音符を「一本の線」と「丸の場所」に分解して考えさせるのが特徴で、読んですぐに声に出して歌うことで実際の音楽活動につなげます。
以下の記事で紹介した、同じ著者による「歌とピアノの絵本」と相性がよく、一緒に使われることでさらに高い効果を発揮します。↓
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幼稚園年中児向けピアノ教本の選び方のコツ|子どもの興味別おすすめ教材4選
5歳くらいの幼児向きの導入教材って本当にたくさんありますよね。どうやって選んだらいいんでしょうか。 福耳悩みますよね。私も色々工夫してきました。 楽器店の店頭では、実に多くのピアノ初心者向け楽譜が並ん ...
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ココがポイント
年少児の楽しさを引き出すピアノへの導入教材4選は・まいぴあの・ドレミとあそぼ!・ダルクローズシステムのリトミック教材・4才のリズムとソルフェージュ
まとめ
- 幼稚園年少児のピアノレッスンのポイントは音楽の楽しさを伝えること
- おすすめ教材は以下の4種類
- ピアノに触れる楽しさを味わう「まいぴあの・ぷれ」
- 音名の学習を楽しく始める「ドレミとあそぼ!」
- 音と身体の動きを連動させる「ダルクローズのリトミック」
- 早くから譜読みの土台を作る「4才のリズムとソルフェージュ」
実のところ、私は年少さんのレッスンが一番緊張します。
かなりテンションを高く保たないとなりませんし、数分ごとに様々な課題を出して彼らの興味をつなぎとめる必要があります。
ほぼ予定通りにレッスンが進まないこともあり、「出たとこ勝負」な面もあります。
そんな難しい年少児のレッスンの時にお世話になるのが、今日ご紹介した教材たち。
私はこの4冊にどれほど助けられたかわかりません。
どれも長年の経験により、子どもたちが興味を持って取り組んでくれることが確定した教材ばかりです。
可愛いけれどちょっぴり気難しい年少さんのレッスンのお供に、ぜひお使いになってみて下さい。
お役に立てること間違いなしです!