ピアノ講師は、子供たちにレッスンをするにあたり、様々なタイプの保護者と接することになります。
なかには、非常識とまではいかないけれど、かなり困ったタイプの人がいるのも事実。
当の保護者ご本人は全く悪気がないことも多いので、より始末に困るとも言えます。
本記事では典型的な6タイプを抽出し、それぞれへの対応方法や解決策を考えてみました。
目次
要求が多すぎるタイプ
要求の多い保護者の例
- 「レッスン開始時間が遅れると子供が帰って来てしまう。絶対に遅れないで欲しい。」
- 「ウチの子は気が散りやすいので、本やぬいぐるみなど、レッスンに関係ないものは一切部屋に置かないで欲しい」
- 「コロナが心配。先生も不織布マスクを二重にして欲しい」
いわゆる「クレーマー体質」の保護者。要求が細かく、ありとあらゆるものがその対象になります。
ピアノ講師がレッスン開始時間を守ることは必要ですが、毎回1分たりとも狂いがないようにするのは正直難しいもの。
マスクに関しては個人差があり、喋っていると息苦しくなる人もいるので二重につけるのを強要すべきではないでしょう。
このタイプの保護者の要求は予測が難しく、またエスカレートしていく傾向にあります。
以前、カーテンのタッセル(ヒモ)のせいで子供の気が散るからと、レッスン前にタッセルを全部取り外しておくように言われて閉口した事が。
それでも毎週その生徒が来る前にタッセルを外していましたが、要求は次第にエスカレート。
そのうち本やぬいぐるみはもとより、置物、地球儀、鉛筆削りに至るまで撤去しておいて欲しいと要求され、それは不可能と告げると退会していきました。
このように、いわゆるクレーマー体質の保護者に関しては、全ての要求に応じる必要はありません。
このタイプはいずれ必ず辞めていくので、講師側で一定の線をひき、度を過ぎた要求は断る勇気を持つ事が必要です。
ココがポイント
保護者の無理な要求には従う必要なし。講師側で線を引き、度を過ぎた要求は断る勇気を
レッスンに口を出すタイプ
レッスンに口を出す保護者の例
- 「この教本が終わったら次にはコレをやらせて下さい」
- 「子供がこの曲はつまらないと言っています。もっと楽しい曲を教えて下さい」
- 「いつも片手練習ばかりでは飽きてくるので両手で弾かせて下さい」
- 「ウチではいつもこのように練習させているので、こちらでもそうして下さい」
などなど。レッスンに口を出すだけでなく、ピアノレッスンそのものをご自分の思う通りに進めたいタイプ。
このタイプの保護者は、「上手に弾けない」ことを「レッスンがうまくいっていない」ととらえる傾向にあります。
ピアノの上達には片手練習やテンポを落としてのゆっくり練習などの地道な努力が必要なのですが、それをさせると子供が不機嫌になる事があるため、あくまでも「楽しく」レッスンを進めて欲しいと要望してくるのです。
このタイプの保護者には、比較的教育熱心な人が多いもの。
「楽しいレッスン」だけではピアノの上達は難しいことを根気よく教えていけば、やがて分かって下さることもあります。
ピアノ講師はあなたなのですから、信念を持って「今はこういった練習が必要なのです」と指導方針を告げ、粛々とそれを進めましょう。
納得してくれればしめたもの、ダメならやがて退会していくはずです。
決してブレずに、生徒を上達させることに注力して下さい。
ココがポイント
レッスンに口を出す保護者には、しっかりと指導方針を伝え、ブレずにそれを実行していく
ピアノに無関心なタイプ
ピアノに無関心な保護者
- 体験レッスン以来保護者と顔を合わせた事がない
- 連絡ノートなどを渡しても持って来ない・あるいは紛失する
- 無断欠席・遅刻が多い
- 連絡メッセージを入れても反応がない
上の項と正反対の、ピアノレッスンに関心がないタイプ。
子供が今練習している曲や教本、テキストの進度に全く興味がなく、レッスンへの希望や講師へのリスペクトもありません。
連絡ノートに何を書こうが、LINEにメッセージを残そうがなしのつぶて。
先生のご注意やアドバイスも「業者からの業務連絡」程度にしか思っていないため、それに反応する必要性も感じていないワケです。
このタイプの保護者の困った点は、生徒の上達に関する意識が低いため、ピアノの練習への協力や理解がほぼ望めないところ。
私はこうした保護者に連絡ノートを複数回にわたって紛失され、さらには貸し出した楽譜も返って来ないという経験をしたため、考えを改めました。
頂いているお月謝の分はしっかりと指導しますが、それ以上の技術向上とか音楽的な表現を引き揚げるべく踏み込んだ指導などは諦め、淡々とした指導業務に徹することにしたのです。
預かっている生徒のピアノの技術を引き上げるのがピアノ講師の仕事とはいえ、生徒が小学生以下の年齢では保護者の協力が欠かせません。
ですが、そうした協力が望めないならば、講師は割り切ってそれに見合ったレベルのレッスンをするしかありません。
幸いこのタイプの保護者は、レッスン内容にこだわりがなく、お月謝もきちんと払って下さる方が多いので、トラブルになることは少ないのが救い。
ある意味ラクなタイプともいえます。
無断遅刻や欠席はきちんと連絡しつつ、頂いているお月謝分の指導はきっちりと行い、あとはご希望通り淡々としたお付き合いを続けていけば良いでしょう。
ココがポイント
ピアノに興味のないタイプの保護者にはレッスンへの協力が望めない。割り切ってそのレベルの指導に徹するのが吉
お金に細かいタイプ
お金に細かいタイプの保護者
- 楽譜は常に誰か(姉・母・従姉妹・友人)のお下がり
- 月謝が上がることを嫌がる
- 参加費がもったいないからと発表会に参加させない
ピアノの楽譜は著作権で保護されており、違反すると法に触れます。が、そこのところをわかっていないか、あえて無視する保護者が。
例えば母と姉二人が使った楽譜はボロボロで書き込みも多く、レッスンは本来無理なものですがそれを使いたいと言ってきかない。
あるいは、貸し出した楽譜をなかなか返してくれないばかりか、そのままそれを使ってレッスンを受けようとしていて困った例もあります。
こうした保護者は月謝が上がることに強く反応するので、レベルが上がってもレッスン時間が増えることを言い出しにくいもの。
さらに「発表会の会費(約10,000円前後)が高額」だとして参加させないなど、生徒本人が気の毒になるケースも。
以前は、特に発表会だけはなんとかならないものかと悩んだ時期もありますが、私自身がある程度の年齢になってから悩むのはやめました。
各家庭には、それぞれの事情があります。
ピアノという楽器に対し、全身全霊を挙げて取り組む家庭もあれば数ある習い事の一環でしかない家庭も。
また、様々な理由でピアノを学ばせることそのものが負担になっている家庭もあるかもしれません。
そうした事情を無視して、無理に新しい楽譜を購入させたり発表会参加を強要したりするのはちょっと違うのではないかと思うようになりました。
縁あって私の教室に通ってくれることになった子供たち。ピアノを習いに来てくれるだけでもありがたいことです。
以来、できるだけ彼らと長く付き合っていく事ができるように、可能であれば出費を無理強いするのは控えることにしました。
楽譜をコピーして使うことは許していませんが、「お下がり」には目をつぶり、レッスン時間は増やさず発表会は自由参加。それで良いと思います。
ココがポイント
お金に細かい保護者の家庭にはそれぞれに事情が。あまり無理をさせず、ピアノを長く続けてもらえるようこちらが折れることも必要
無神経なタイプ
無神経なタイプの保護者
- レッスン開始時間よりかなり早く来る。迎えは遅い
- 下の子供も置いて出かけようとする
- 待ち時間に子供にお菓子を食べさせる
- 子供のレッスン中もスマホに夢中
他にもいくつかのバリエーションがありますが、一番多いのは「ピアノ教室を託児所の如く利用しようとする」タイプ。
レッスン開始時間の20分以上も前にやってきて、子供を置いて買い物などへお出かけ。レッスン終了時間になっても現れないのが典型的なパターン。
その他、例のようにとにかく「ピアノレッスン」に向き合う姿勢が見られず、お客様気分で先生たちを鼻白ませる事が多いものです。
このタイプの保護者はちゃっかり型。「お金を払っているんだからこれくらいはいいだろう」というノリで、ピアノ教室でも自由自在に振る舞います。
比較的若い保護者に多く、悪気はないので注意すればすぐに改めてくれるのが救い。
ただ、下のお子さんのお預かりなどは決してすべきではありませんし、やたら早く来たりお迎えが遅れるのは他の生徒のレッスンに差し障ります。
教室のルールやレッスン時間を守るべきということはしっかりお伝えしましょう。
そして、あとはレッスンの邪魔にならないように静かにしていてくれれば良いと割り切ることにしています。
ココがポイント
ちゃっかり型の無神経な保護者には、言うべき事はしっかり伝え、下の子の預かりなど無理なことは拒否。後は自然体でOK
逆ギレするタイプ
逆ギレする保護者
- 「いつまでたってもこんな曲しか弾けないのなら辞めさせる」
- 「練習させるのはそっちの仕事。親に負担をかけないで欲しい」
- 「発表会の曲が短い。同じ参加費用を払っているのに納得がいかない」
- 「『音が違う』などという言い方をされると子供が傷つく。言葉のかけ方をもう少し考えてもらいたい」
逆ギレする保護者の反応パターンは色々ありますが、根っこは全て同じです。
近視眼的で刹那的。彼らの目の前にある「不快事象」を自身への攻撃の一種ととらえに過剰に反応。
ご自分と共に「子供を守る」事が彼らの中での大義名分となり、ピアノの先生であれ学校の先生であれ攻撃対象として認定してしまうのです。
このタイプの保護者は、物事を論理的に考えるのが苦手。世の道理を理解する能力も高くないので理屈が通じませんσ(^_^;)
対処方法としては、決して相手とのバトルにならないように、感情的にならず冷静に必要なことを説明するのがコツ。
無理なことは無理と穏やかに言い渡し、ピアノの上達には教室の指導と共に家庭の協力が必要になることなどを淡々と伝えましょう。
その上で矛を収めてくれれば良し。もしも敵対的な態度が改まらないならご退会頂くのが教室にとって一番です。
ココがポイント
逆ギレする保護者には理屈が通じない。バトルにならないよう、穏やかに伝えるべきことを伝える。それでもダメなら退会して頂くのが一番
まとめ
- 保護者の要求に全て応える必要はない。無理なものは断る
- レッスンに口を出す保護者には、教室の指導方針をきちんと伝える
- ピアノに無関心な保護者には協力が望めないため、可能な範囲でのレッスンに徹する
- お金に細かい保護者に対しては出費を無理強いしない
- 無神経な保護者には、時間厳守と教室のルールだけは守ってもらうようにする
- 逆ギレする保護者とはバトルにならないよう冷静に対処。状況が改善しないなら退会を促す
様々な困ったタイプの保護者の例と、それぞれの対処法、解決へのヒントをお伝えしました。
本記事が、保護者との関係に悩むあなたの指標となることを願っています。
「困った」を通り越した、非常識な保護者への対応方法はこちらから↓
-
非常識な保護者の例と対応方法|ピアノ教室の悩み5例・トラブルになる前に
関連記事 ピアノ教室の困った保護者 6タイプ|対応方法と解決へのヒントとは 【ピアノ教室】月謝の滞納を防ぐ方法|未納期間別に解説!悩む前に早めの対処を
続きを見る
月謝を滞納されて困っている‥そんなときはこちらの記事がおすすめです↓
-
【ピアノ教室】月謝の滞納を防ぐ方法|未納期間別に解説!悩む前に早めの対処を
関連記事 非常識な保護者の例と対応方法|ピアノ教室の悩み5例・トラブルになる前に ピアノ教室の困った保護者 6タイプ|対応方法と解決へのヒントとは
続きを見る