生まれてはじめてのピアノ発表会。生徒本人はもちろん、保護者たちも期待と不安の入り混じった気持ちでいっぱいです。
まだピアノに慣れてはいないけれど、少しでも上手に聞こえるような選曲を望んでいるはず。
本記事では、そんな、はじめてのピアノ発表会に出演する生徒にぴったりの曲集・楽譜を集めてみました。
きっと、あなたの生徒さんに合った曲が見つかるはず。ぜひご参考にして下さいね。
目次
はじめてのピアノ発表会向け曲集の難易度
- うたとピアノの絵本「みぎて」「ひだりて」「りょうて」
- ぴあのどりーむ 初級テキスト①〜③
- バイエル上巻
- バーナムピアノテクニック ミニブック
- オルガン・ピアノの本1
- トンプソン はじめてのピアノ教本①〜②途中まで
ピアノ学習者向け別ブログ「鍵盤の旅人」にて、難易度についての考え方を記した記事をアップしています。参考までにご参照下さい↓(^○^)
ピアノ曲の「難易度」とは?レベル設定と基準について解説!入門から最上級まで
大人の学習者を除くと、導入期の生徒はたいてい小さな子ども。よって一度に押さえられる鍵盤の数は少なく、和音も5本の指の範囲内で収まる曲がベスト。
はじめてのピアノ発表会向け曲集一覧
現役ピアノ講師が考えた、はじめての発表会にふさわしい曲集一覧は以下の通りです。
全体的な難易度が低めと思われる順に並べてみました。
はじめての発表会向き曲集
- バスティン 先生のお気に入り レベル1
- 小学生のためのピアノ小曲集(田丸信明編)
- はじめてのギロック
- グローバー・ピアノ併用曲集・VOL.1
- 虹色パレット(池田奈生子)
- ピアノの広場1(J.ジョージ、R.グローブ、他)
- カバレフスキー 35のやさしい小曲集こどもの冒険
はじめてのピアノ発表会向け曲集の紹介とおすすめ曲
以下、はじめての発表会向きの曲集を簡単にご紹介します。
また一冊ごとに、このレベルの学習者に特におすすめの曲もご案内。一冊の曲集の中には、特に易しいものから比較的難しい曲も含まれるからです。
バスティン 先生のお気に入り レベル1
- 曲集名:バスティン 先生のお気に入り レベル1(BASTIEN FAVORITES Level1)
- 作曲者:ジェーン・スマイサー・バスティン (Jane Smisor Bastien,1936-2018)
- 発行:東音企画
- 頁数:31頁
バスティン ・メソード創始者であるJ.S.バスティンによる作品集。初歩の子どもたちに無理なく弾けて、それでいてひねりの効いた音使いが魅力です。
収録された曲のレベルに大きな差がなく、使いやすいのが特徴。
ただし、手や体格の大きなアメリカの子どもを対象とした教材なため、日本人の幼児には押さえにくい箇所があるかもしれません。
居眠りわにさん原題"The Sleepy Aligator"。ユーモラスでのんびりしたワニさんのお話。確かにワニは昼間は眠たそうです。
ハ長調ですが手の交差があり、長さもそこそこなので発表会の曲としてぴったり。最後の"Good Night."の部分は本当に眠ってしまったように‥。
ねこの目きらり原題"Cat at Night"。ヘ長調、左手属七の和音で♭が登場。2の指なので比較的弾きやすいと思われます。
中間部の短2度の不協和音はネコの声。ちょっとミステリアスな雰囲気です。最後は両手の位置が広がります。
大きな消防車以下の「鍵盤の旅人」内記事をご参照下さい↓
【ピアノ発表会】男の子におすすめ!入門レベル曲10選「大きな消防車」
動物園のカメさん原題"Turtle at the Zoo"。幼児向きの曲では珍しい変ホ長調。ちょっととぼけた雰囲気のカメさんのイメージにぴったりです。
黒鍵が多いのでやや押さえにくいかもしれません。手の大きい子向きです。
小学生のためのピアノ曲集 上
- 曲集名:ぴあのどりーむ 小学生のためのピアノ曲集 上
- 作曲者・編者:田丸信明
- 発行:Gakken(学習研究社)
- 頁数:61頁
田丸信明氏は日本の教育作曲家。「ぴあのどりーむ」シリーズは、日本の子どもたちのための初級教本としてすっかり定着しました。
同シリーズの、特に小学生のためのピアノ発表会用曲集が本書。古典的な音使いや指の運びは、ごく普通の子どもたちにも安心して与えられるものです。
田丸氏本人の作品のほか外国の民謡、ツェルニーやベール、ハリオットなど古典期〜ロマン派の小品も取り入れています。
曲数が多く、全てに可愛らしいタイトルがついているのもありがたいところ。
ヘンゼルとグレーテルドイツの曲。左手は「ソ」の単音のみ。習いはじめて間もない小さな子にも弾けます(^○^)
シンデレラのおはなし田丸信明作曲。学習者向けブログ「鍵盤の旅人」内の以下の記事にて簡単に解説。演奏動画も公開しています。↓
【ピアノ発表会】女の子におすすめ!入門レベル曲10選|幼児〜小学校低学年向け
しろい雲とあおい空田丸信明作曲。左右の手でメロディを受け渡して滑らかに弾きます。
発表会曲としてそこそこの長さがあり、足台ペダルを使えば演奏効果も上がります。負担のない範囲で取り入れてみては。
5月にベール(F.Behr,1837-1898)作曲。発表会定番曲ですが原曲を易しく改変しています。
はじめてのギロック
- 曲集名:ビギナーのためのピアノ小曲集 はじめてのギロック(ACCENT ON SOLOS)
- 作曲者:ウィリアム・ギロック(W.Gillock,1917-1993)
- 発行:全音楽譜出版社
- 頁数:62頁
ピアノの発表会になくてはならない存在となったW.ギロックの最も易しいピアノソロ作品集。
「ビッグノート・ソロ」「アクセント・オン・ソロ」 ①〜③レベルの4レベルで構成されています。
このうち、導入期のピアノ学習者にぴったりなのは「ビッグノート・ソロ」と「アクセント・オン・ソロ」レベル①。
両手で単旋律を受け渡すメロディ奏や、左手が同一音の連打、和音の保持でできている曲が中心です。
以下、おすすめ曲をご紹介。
塔の鐘原題"Pagoda Bells"。東洋的な雰囲気のエキゾチックな曲。
ペダルを踏み続けて弦を開放することで、音に広がりとボリュームがでます。テンポもゆっくりなので弾きやすいはず。
スクエア・ダンス原題"Swing Your Partner"。4拍子の楽しそうな舞曲で、元気な曲が好きな子に向いています。
左右の親指が交差する箇所あり。スタッカートの練習にもなります。
スイレン原題"Water Lilies"。印象派的なオシャレな曲。これもペダル必須です。
インディアンの雨乞いダンス原題"Indian Rain Dance"。先住民族の勇ましい舞曲です。「強いアクセントをつけて」と指示あり。
小さな羊飼い別ブログ「鍵盤の旅人」内の以下の記事で解説しました。
【ピアノ発表会】男の子におすすめ!入門レベル曲10選|幼児〜小学校低学年向き
グローバー・ピアノ併用曲集Vol.1
- 曲集名:グローバー・ピアノ併用曲集・VOL.1
- 作曲者:デイビッド・グローバー(David Carr Glover,1925-1988)、他
- 発行:東亜音楽社
- 頁数:32頁
古典となったアメリカの子ども用ピアノ教本。
「穴の開いたバケツ」「ポリ・ウォリ・ドゥードル」などのアメリカ民謡のほか、グローバーのオリジナル曲などが収められています。
複雑な音使いなどのないシンプルな曲目が多く(練習が浅い生徒にも)安心して曲出しできるのが嬉しいところ。σ(^_^;)
きらめきテンポ速めの楽しい曲。左手でメロディを担当する箇所もあり、このレベルの学習者の良い練習になります。
ピンクのパゴダ黒鍵だけでできている曲。ダンパーペダルを踏んだまま弾くので、音にボリュームが出てごく簡単なのに映えます。
東洋的な響きをゆったりと楽しみながら弾きましょう(^○^)
誕生日のパーティ3つのパートの組み合わせでできているごく易しい組曲です。最初の三拍子のパートは意表をつく和音があって面白い。パーティの準備かな?
「バースデイ・ケーキ」は二拍子で楽しそうに。最後はあの「ハッピー・バースデイ」で締めくくります。
情景が子どもに想像しやすく、やる気を出して練習してくれそうです。
虹色パレット
- 曲集名:虹色パレット
- 作曲者:池田奈生子
- 発行:全音楽譜出版社
- 頁数:43頁
ギロックに魅せられて作曲に興味を持ったという邦人作曲家・池田奈生子氏による、導入〜初級レベルのピアノ曲集。
2017年に発売されて以来、全国のピアノ指導者に高く評価されています。
前半は『魔法の王国」という組曲で連弾が中心、後半はソロ曲という構成。連弾曲を除くと、導入レベルの学習者におすすめなのは以下の2曲です。
魔法の王国ファンタジックな組曲『魔法の王国」の最終曲。眠りにつく王国のための、やさしく穏やかな子守唄です。
シンプルな音使いでペダルも使わないのにとってもオシャレ。大人っぽいお子さんにおすすめ。
四つ葉のクローバー『一面に咲くクローバーの丘へ幸福の四つ葉を探しに出かけましょう』『中間部では、幸せがあなたの心の扉をノックするイメージで』(曲目解説より)。
演奏する子も保護者の方も、曲を選ぶ指導者もみんながハッピーになること請け合いのおすすめ曲です(^_−)−☆
ピアノの広場 1
- 曲集名:ピアノの広場 1(SUPPLEMENTARY SOLOS)
- 作曲者:D.クレーエンビュール(David Kraehenbuehl,1923-1997)/J.ジョージ(Jon George,1944-1982)、他
- 発行:ヤマハミュージックメディア
- 発売元:全音楽譜出版社
- 頁数:77頁
ロックやジャズ、ブギウギなどアメリカのポップス曲のスタイルを取り入れた導入〜初級者向きの曲集。
新鮮な音の響きや独特のリズムが、発表会のプログラムに変化をつけることができます。
傷つきレコード ブギ原題"Broken Record Boogie"。ジャズの響きが楽しい曲。
しっかりと強い音で弾きます。音域が低いのでボリューム感あり。ただし「レコード」については説明が必要かも‥σ(^_^;)
へびつかい原題"Snake Charmer"。中東の雰囲気たっぷりのミステリアスで妖しげな曲。ヘビの曲なので急ぎすぎずゆったり弾くと良さそう。
以下の記事で解説しました。演奏動画も公開しています。
ハロウィンにおすすめのピアノ曲10選|不気味で怖いミステリアスな雰囲気の曲を難易度順に解説!
カバレフスキー 35のやさしい小曲集こどもの冒険
- カバレフスキー 35のやさしい小曲集こどもの冒険(35 Easy Pieces For Piano Op.89 CHILDREN’S ADVENTURES)
- 作曲者:ドミトリー・カバレフスキー (D.Kabalevsky,1904-1987)
- 発行:全音楽譜出版社
- 頁数:35頁
発表会のプログラム中に、できれば1曲は入れたいカバレフスキー 。
現代的でひねりの効いた響きは弾きこなす子を選びますが、うまく決まれば実にカッコよく、聴衆の印象に残ること間違いなしです。
このレベルの学習者におすすめなのは以下の3曲。手が小さくても大丈夫です。
光と影導入期の、さらにごく初歩のレベルでも弾ける易しいカバレフスキー 。前半が長調、後半が短調で、光と影との対比になっています。
両者の違いをはっきりと際立たせるために、強弱を強調して演奏するのが大切です。
わがままな弟思わずニヤリとしてしまいそうなユーモラスな曲。
時折左手に挿入される八分音符と四分音符のフレーズが、まるで幼児が「イヤだ!!」と叫んでいるかのようで「あるある」とうなずきたくなります。
単音の付点のリズムのみで演奏されるオシャレな舞曲。「ペダルなしで」と指示があります。
あっちこっちへ目まぐるしくポジション移動するので、難易度はこのレベルとしては高め。16分音符が滑って短くなりすぎないように指導しましょう。
まとめ
はじめてのピアノ発表会向けおすすめ楽譜7選は以下の通りです。
- バスティン 先生のお気に入り レベル1
- 小学生のためのピアノ小曲集(田丸信明編)
- はじめてのギロック
- グローバー・ピアノ併用曲集・VOL.1
- 虹色パレット(池田奈生子)
- ピアノの広場1(J.ジョージ、R.グローブ、他)
- カバレフスキー 35のやさしい小曲集こどもの冒険
教育熱心な保護者の多い我が国では、導入期の小さいこども向けのピアノ教本や併用曲集の出版がとても盛んです。
そして当然ながら発表会用の曲集も増える傾向に。
小学校低学年の子ども向きのピアノ教本・教材に関してはこちらの記事に詳しいです↓
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